イメージしてみてほしい、、、
公園の前に1台のミニバンが止まっている。
アメフトのヘルメットを抱えた少年と、2人の妹が次々に乗り込むと、、、
「新型エンクレーブ、登場」という女性のナレーション。
運転席には父親、助手席には母親。
車のあちこちにカップホルダーがついている。
父親がエンジンをかけ、車は静かに車道を走りだす。
「エンクレーブ、それは究極のミニバンです」(女性のナレーション)
光り輝く太陽のもと、車は郊外の道路を滑るように走る。
「リモートコントロールのスライディング・ドア、150チャンネルのケーブルテレビ、大型サンルーフ、温度調節機能付きのカップホルダー、そして最大6地点表示のカーナビゲーション・システム……行動派ファミリーのためのミニバンです」(女性のナレーション)
エンクレーブは交差点で停止し、車の窓から外を見つめる少年にカメラがズームイン、少年のアップが映し出される。
窓ガラスには大きな緑の木が美しく映り込んでいる。
父親は車を交差点の中へと走らせる。
その時、
猛スピードの車が交差点に突っ込んできて、エンクレーブの横原に衝突する。
恐ろしい衝突音。
車体はねじ曲がり、ガラスは砕け散る。
徐々に画面が暗くなり、メッセージが現れる。
「予想もしませんでしたか?」
質問文が消え、代わってこんな言葉が現れる。
「誰もがそうなのです」
けたたましくクラクションが鳴り続ける中、最後の一文が画面に現れる。
「シートベルトを締めましょう……どんな時も」
この広告は米広告協議会が制作し、人々に大きな記憶を焼き付けたものです。(出典:アイディアの力)
実際にはエンクレーブというミニバンは存在しません。
「え?」
この結末にはあなたも驚きの展開で、思考がいったん停止状態になったに違いない。
私たちは毎日無意識の「推測機能」が働き、予測の中安心して生活している。
その中では「シートベルトを締めましょう……どんな時も」というメッセージだけでは無意識がさっさと記憶のかなたに処理してしまう。
物事 → 無意識の自動思考 →アクション(行動・感情)
この一連の流れでは、いくら本を読んだり、スキルを学んでも今までの思考習慣は変わらない。
何か自分の「推測機能」を超越した出来事が起こったときに、新たな思考回路・ニューロンが出来上がり、今までの日常の景色は変わるのです。